【穂乃香】 「――っ!?」

【穂乃香】
(なっ! なにこれぇぇっ!!)

状況がすぐに理解できない。

いったい何が起こっているというのか。

トイレにいたはずの穂乃香は、突然、繁華街の真ん中で、自分一人だけ下半身を丸出しの状態になっていた。

【穂乃香】
「うそっ、うそうそうそうそっ!!」

即座に通行人たちに囲まれる。

あまりのことに身体が動かない。逃げるどころか、隠すことすら、パニックで思うようにいかない。

【通行人A】 「ええええ!? この人何してんの!?」

【通行人B】 「おっほう! こりゃすげぇ!」

【通行人C】 「うわー、この女なんでマ○コ出してるの?」

【通行人D】 「やだあっ、変態!」

通行人たちが、口々に穂乃香を辱める。

ありえない。こんな往来で、股間を人前にさらすなんて、ありえない。

【穂乃香】 「いやっ、いやあっ、いやーーーーーーーーっ!!」

穂乃香は羞恥と恐怖で、半ば錯乱気味に悲鳴をあげた。

【 マサル】 (『自分が恥ずかしいこと』、『屈辱的だと思うこと』をすれば、その幻覚を打ち破れる)

【穂乃香】 「!」

唐突に頭の中に鳴り響いた声が、穂乃香を狂乱から引き戻した。

【穂乃香】 「なっ………」

【マサル】 (今回はサービスで教えてやるよ。それは幻覚さ。ただし、どこまでもリアルな、ね)

どこからともなく聞こえてくるおぞましい声。しかし、今の穂乃香にとっては、現実をつなぎ止める唯一の糸口。

【マサル】 (さあ『恥ずかしいこと』をするんだ)

【穂乃香】 (はずかしいこと……)

今でも十分すぎるほど恥ずかしいというのに。だが、声はさらにとんでもない要求をした。

【 マサル】 (『私のいやらしいおま○こ見てください』と言いながら、おもらしをしてみろ)

【穂乃香】 「そっ……そんな、そんなことっ!」

【穂乃香】 (できるわけないっ)

【通行人A】 「お、なんか言ってる」

【通行人B】 「そんなことって、どんなこと?」

【通行人C】 「お、マ○コ見せながら、何かすんの?」

【通行人D】 「いやだ、これって痴女よ」

通行人たちが、無遠慮な目でジロジロと穂乃香を見つめる。

どこまでもリアルな幻覚。それはもはや現実と変わらない。

【マサル】 (やるかどうかは、あんた次第。好きにすればいいさ。でも俺に勝ちたいんだろ?)

【穂乃香】 「くっ…………」

様々な感情がせめぎ合い、頭を埋め尽くす。

【マサル】 (俺はあんたが暗示に耐えられるかどうか、しっかり観察させてもらうことにするよ。くくくくく)

――――やるしかないのか。

最後に残ったひとかけらの反発心とあきらめ。穂乃香は、ゆっくりと顔を上げた。

【穂乃香】 「私の……お、おま○こから……おしっこが出るのを、見て……ください……」